土地の形状と土壌
ボルドー地方は石灰岩を基盤とした大地とドルドーニュ河とガロンヌ河と呼ばれる二つの河が運んだ堆積土からなりたっています。
ドルドーニュとガロンヌは合流してジロンド河となりボルドーに高品質なワインを作り出す地形と土壌の多様性を与えています。
ボルドーワインの個性はぶどうがそれぞれの河に対してどのような位置で栽培されているかによって性格づけられます。
ガロンヌ河とジロンド河の左岸地区
ガロンヌ河左岸の穏やかな斜面は主に砂利質でピレネー山脈の岩盤が数千年かけて浸食され、ガロンヌ河によって運ばれたものです。
その深さはさまざまですが、水はけにすぐれ、ぶどうの成熟を助ける熱を保温する力があります。
ドルドーニュ河と合流したジロンド河左岸はドルドーニュ河がフランス中央部から運んできた豊かな森の土壌の影響を受け、粘土と砂利が絶妙のバランスで混ざりあったものとなっています。
ドルドーニュ河右岸
起伏に富んだなだらかな丘陵が続くドルドーニュ河の右岸では、いろいろな母岩が浸食された結果、粘土、石灰、砂、そして砂礫などさますまな土壌が見られます。
保水性の高い粘土質の土壌ですが、水はけの良い丘陵ではぶどうが栽培され、余分な水分からぶどうの根を守ります。
二つの川に挟まれた地域
ガロンヌ河とドルドーニュ河に挟まれた地域はアントル・ドゥー・メールと呼ばれる広大な土地で起伏に富んでいますが平坦な土地も多く、土壌は、粘土石灰質と砂利、砂など多彩です。
気候
ボルドーは大西洋沿岸にあり、北緯45度と、北極と赤道の真ん中二位置しています。
メキシコ湾流(カリブ海からアキテーヌの毎岸に沿って流れる暖流)の影響で気温が上がる海洋性の穏やかな気候で、大西洋沿岸部には幅の広い帯状の松の森が海からの風をさえぎるスクリーンの役割をし、独特の寒暖差を持つぶどう栽培に適した環境をつくりあげています。
豊かな日照条件に反して雨は多く、平均すると年間900mmの降雨量がありますが、ぶどうの成熟期にあたる秋には晴天が続くため晩熟タイプのぶどう品種の栽培が可能となっています。
ミクロ・クリマ
テロワールという言葉で表現される自然条件は、実際にはひとつのぶどう園をとっても、農道で区切られたパーセルと呼ばれる小さな区画単位で異なっています。
パーセルによる砂利の深さの違いなどの土壌はもちろん、斜面の微妙な傾斜の違いや向きの違いによって日当たりや風の量などが変わるのです。
こうした微妙な自然条件をミクロ・クリマといいます。